2024.10.18 史学科 関
「博多からタイムトラベルに出発」
2024年9月18日から20日にかけて史学科の研修旅行が実施されました。今年度は福岡県、佐賀県、長崎県に所在する史跡や神社仏閣をめぐりました。
旅行中、お史ちゃんが1を聞いたら5000返って来たという日本中世史担当の関周一先生に旅程をレポートしていただきました。
9月18日(水)
古代・中世の日本において最大の貿易拠点である、鴻臚館と博多を訪ねました。
昼に福岡駅に集合した後、山内先生の案内で、博多を歩きました。鎌倉時代の中国人海商である謝国明の墓、謝国明が支援して円爾が創建した承天寺
、遣明使節や朝鮮使節宋希璟
が滞在した妙楽寺(息浜
より現在地に移転)、栄西が創建した日本最初の禅寺である聖福寺
を訪れました。ついで大博通りを西に渡って、博多祇園山笠行事(国指定重要無形民俗文化財)で知られる櫛田神社を訪れました。
その後、地下鉄に乗り、鴻臚館跡に移動しました。史跡公園として整備された鴻臚館跡を歩きました。ついで鴻臚館跡展示室において、山内先生の説明を聞きながら、遺構や展示遺物を見学しました。
最高気温が37度という季節外れの猛暑の中、学生の皆さんはしっかり歩いてくれました。
9月19日(木)
午前中、佐賀県唐津市鎮西町までマイクロバスで移動し、豊臣秀吉の「唐入り」(「壬辰戦争」と呼ぶ研究者もいます)の軍事拠点としてつくられた名護屋城および佐賀県立名護屋城博物館を見学しました。名護屋城博物館では、先生方の説明を聞きながら、秀吉の「唐入り」を中心に、古代・中世・近世の日朝関係史について学びました。ついで名護屋城跡を見学し、その規模の大きさに圧倒されました。本丸跡からは、壱岐島・対馬島まで見えました。
昼食後、長崎県松浦市の鷹島に移動しました。弘安の役の際に、暴風雨のため沈んだモンゴル軍の船や遺物の調査が進められ、「鷹島神崎 遺跡」(水中遺跡)として国史跡に指定されています。松浦市立埋蔵文化財センターを訪れ、ガイダンス施設の展示と保存処理室について、センターの方に詳しい説明をしていただきました。てつはうや鷹島型の碇石などの遺物や、船体の保存処理のためトレハロース(糖)を使用していることが印象的でした。
その後、福岡市に戻り、博多湾の西端に位置する今津(福岡市西区)を訪れました。まず文永の役後に設けられた石築地
(元寇防塁)を見学しました。日向国と大隅国の御家人が築造を担当したもので、現存している石築地の中でも比較的よく残っています。
次に今津の登志山誓願寺を訪れました。誓願寺は、栄西が、博多周辺における活動拠点とした寺院です。副住職ご夫妻に、同寺についてのたいへん懇切な説明をしていただきました。同寺には、栄西直筆の『誓願寺盂蘭盆一品経縁起』(国宝。現在、九州国立博物館に寄託されています)が伝えられています。国宝に指定される前は、毎年正月、氏子の代表者が氏子の家の一軒一軒を訪れ、同縁起を見ていただいたということです。
9月20日(金)
ホテルから中型バスに乗り、まず福岡市博物館を訪れ、常設展を見学しました。最初の部屋が金印「漢委奴国王」(国宝)の展示室でした。各時代の福岡市の様相を示した展示を各自が見ていきました。その中には、山内先生一押しの、近年博多遺跡群から出土した硫黄(宋への輸出品)がありました。 豊富な展示のため、 1時間の見学時間では見尽くすことはできませんでした。
次に福岡県太宰府市に移動し、太宰府天満宮を参詣しました。川森先生のゼミの卒業生が、同宮で巫女を務めており、川森先生からの紹介がありました。
昼食後、同宮に隣接している九州国立博物館を訪れました。4階の「文化交流展示室」において、日本とアジア、ヨーロッパとの文化交流の歴史について、先生方の説明を聞きながら、じっくり学びました。 車中では、川森先生に韓国語の歌2曲を熱唱していただきました。
博多駅で解散し、各自、おみやげを買って、帰路に就きました。
これまでのかわら版はこちらから
公式SNSもご確認ください。